加佐ノ岬物語６－城壁のように積み上げられた青い笏谷石

　この北前船の船主だった旧増田家の石垣です。まるで城壁のようです。福井県の笏谷町から運ばれてきたものです。現在は笏谷町では採りつくされてありませんが、今も橋立町にはこのように積み上げられ、現在もなお赤い瓦屋根とともに、青くコントラスト良く彩られています。

当時、この石の細工は一日に一段以上は作業してはならないと、家主にきつく言い渡されており、丁寧な工事が要求されており、地震があってもびくともしないで現在に残されています。橋立町にはこのほか旧西出家、旧久保家、酒谷家の大きな屋敷だけでなく、いたるところにこの石で土囲いがされています。

私は小学校に行くときは、この屋敷の上の眺望の道を通っていましたが、板塀の穴から覗き込むこの屋敷は、外国と思えるほど庶民が入れないところで、別世界のおやけさま（お金もち）の住んでいるところと思っていました。

しかし、その後一軒、一軒、競り市で道具が売られ、お屋敷は壊されていき、売られていきました。青い石囲いだけが残されてさみしいお屋敷もあります。この増田家は完全ではないが御殿などが残されており、修復工事が行なわれています。今年は映画の撮影現場にもなり、嬉しい限りです。

私は夫と共に、この国の重要伝統的建造物群指定の町の保存に力を振り絞ってきました。しかし、まだ保存だけに終わっています。

甦れ、日本一の富豪村！甦れ、黄金伝説！限りなく先祖の残してくれた、大切な遺産を活用するために活動を続けていきたいものです。心ある協力者を求めています！