加佐ノ岬物語2- ジンギ浜
この砂浜は、ジンギ浜(神器)と呼ばれているところです。手前が加佐の岬で、向こう側に「お夏の岩洞」があります。断崖絶壁なので、海からしか行けないとこであり、名前からして「あらたかな」場所です。橋立町の出水神社に残されている瓦版には「そもそも、ご開祖石宿祢(いしすくね)の神はひんば(羽のある馬)に乗り、出水の間に御あがりて・・・・」と書かれているので、この地一帯が神聖な場所なのであろうと思えます。
この海岸線は海抜40メートルもあり、つい最近までは大きな松が生い茂っていたところだったので、海の反対側は戦後農地として開墾されていました。加賀藩の家老の書いた本には「風の間」と呼ばれ、海からの風が当たらない南斜面の温かい土地です。
私も幼少の頃は、祖母に連れられて、畑つくりのお手伝いに来ていましたが、町の子供たちも一杯来ており、桑の実やあけび、サツマイモ、トマトやキュウリをとって食べるなど、にぎわっていました。懐かしく、ほっこりと思い出されます。
その頃、みんな、貧しかったけれど、町の人みんなが片寄せあって生きてきた場所です。そんな土地の一角に「カフェ加佐ノ岬倶楽部」が佇んでいるのです。